2019年から始まった「働き方改革」
法改正への対応もそろそろ落ち着いてきたのではないでしょうか?
中には「うちは従業員が少ないからムリ・・・」「お金がないからムリ」「何から進めていけばわからない・・・」などで諦めている会社も。
このまま放置し続けると、従業員のモチベーションの低下や新事業への展開が困難になるなど影響が出てくる可能性があります。視点を変えて業務効率化という視点で考えてみましょう。
業務効率化とは?
業務効率化とは、現在会社で行っている業務を見直し、仕事を進める上でムリがあるもの、ムダがあるもの、ムラがあるものを見つけ出し、非効率な業務を改善することです。
ECRS(イクルス)の原則
業務改善を行う場合、ECRSの原則に基づいて代替案を考えると良いでしょう。ECRSの原則のJISの定義は以下のようになります。
工程、作業、動作を対象にした分析に対する改善の指針として用いられる。
E(eliminate:なくせないか)
C(combine:一緒にできないか)
R(rearrange:順序の変更はできないか)
S(simplify:単純化できないか)
による問いかけ。
E:Eliminate 排除(なくせないか)
何のためにその作業を行うのか目的を考えて、その作業をなくせないかと考えることです。例えば日報の項目を必要事項だけにする、会議の時間や回数を減らすなどが考えられます。
C:Combine 結合(一緒にできないか)
複数の作業を一緒に行うことはできないかと考えることです。例えば事務作をまとめて行う時間をつくることや上司への報告をまとめて行うなど、作業を同時に行うようにする改善例があてはまります。
R:Rearrange 交換(順序の変更はできないか)
作業手順や並べ方を入れ替えることはできないかと考えることです。例えば作業順序を入れ替えることによって、手を伸ばす距離を短くできたり、移動距離を減らすなどが挙げられます。また、配達などのルートの見直しも効果があります。
S:Simplify 簡素化(単純化できないか)
部品や作業を単純化することによって、作業工数を削減しコストダウンにつなげる考え方です。例えばメールのあいさつ文のテンプレート化、IMEの予測入力の活用などが考えられます。また、文房具や工具などの置き場所をわかりやすくするなども効果があります。
まとめ
「働き方改革」では「時間外労働の上限規制」「年次有給休暇の年5日取得」「同一労働同一賃金」が主な改正となりますが、業務の見直しや業務改善はどの法改正対応にも当てはまることです。ただし、無理やり対応してもサービスや商品の品質が低下してしまい業績が悪化してしまう可能性があります。業務改善の結果、たとえ作業時間が変わらなかったとしても、今までよりも高い価値を生み出すことが出来るようになれば、時間短縮と同等もしくはそれ以上の効果があると言えます。
これまで行ってきた業務のやり方や慣習を見直すことは、決して簡単なことではありません。ですが、「これまでと同じことが良いこと」という思い込みを考え直す勇気も必要です。業務改善、生産性向上のためにも、「ECRS」の原則を検討してはいかがでしょうか。
投稿者:社会保険労務士 阿嘉 哲氏