1. 育児休業給付金におけるみなし被保険者期間の算定方法の見直しに関する規定が令和3年9月1日に施行
育児休業給付金の支給は、みなし被保険者期間が休業開始前2年間に12ヶ月以上あることを要件とし、当該期間は被保険者が育児休業を開始した日を起点として算定しています。
しかし、女性が育児休業をする場合、育児休業前に産前産後休業を取得していることが一般的であり、出産日に応じて育児休業開始日が定まることから、そのタイミングによってはみなし被保険者期間の要件を満たさない場合があります。
今回の改正では、被保険者期間に係る要件を満たさないケースであっても、産前休業開始日等の前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間がある場合には、育児休業給付の支給に係る被保険者期間要件を満たすものとされます。
・「育児休業給付金」の被保険者期間の要件の一部変更等(厚生労働省HP)
2. 育児・介護休業法が改正されました ~令和4年4月1日から段階的に施行~
厚生労働省の調査では、過去5年間に育休などを取得しようとした男性のうち26.2%が上司から嫌がらせを受けるなどの「パタニティハラスメント(パタハラ)」被害にあっていたことがわかりました。そのために、育休取得を諦めるという実態も浮かび上がっています。
これまでも、企業で働く人であれば男性でもほとんどが育休を取得する権利がありましたが、取得率は伸び悩んでいます。今回の改正は、取得の障壁となっていた職場の雰囲気を変えることで、育休取得を促進していくことを目指しています。
<改正の5つのポイント>
1 男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設
2 育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
3 育児休業の分割取得
4 育児休業の取得の状況の公表の義務付け
5 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
・令和3年改正法の概要(厚生労働省スライド)
・リーフレット「育児・介護休業法改正ポイントのご案内」(厚生労働省HP)
投稿者:特定社会保険労務士 矢野 淳子